「杜の都」という言葉を一枚の写真で説明するなら、たぶん誰もがこの通りを撮るはずです。約700メートルにわたって続くケヤキの緑のトンネル。車の音がふっと遠のく中央の遊歩道は、街の真ん中にいることを忘れさせてくれます。
4列166本のケヤキがつくる「緑の天蓋」
定禅寺通のケヤキは4列・166本。車道を挟んで両側の歩道と、通りの中央に設けられた遊歩道の並木が重なり合い、初夏には頭上がほぼ完全に緑で覆われます。見上げながら歩くと、葉のすき間から木漏れ日がちらちらと落ちてきて、真夏でもここだけは涼しい。仙台市の「杜の都 緑の名所100選」にも選ばれている、まさに街のシンボルです。
ちなみに通りの名前は、かつてこの地にあった定禅寺というお寺に由来します。お寺自体は明治期に廃寺となりましたが、名前だけが通りに残ったというわけです。
遊歩道は屋外美術館。3体のブロンズ像を探して
中央遊歩道には、イタリアの彫刻家によるブロンズ像が3体並んでいます。エミリオ・グレコの「夏の思い出」、ヴェナンツォ・クロチェッティの「水浴の女」、ジャコモ・マンズーの「オデュッセウス」。散歩のついでに眺められる距離感が良くて、ベンチに座ってぼんやり眺めている人をよく見かけます。彫刻をめぐりながらゆっくり歩いても、端から端まで20分ほど。ちょうどいい散歩コースです。
休憩は「せんだいメディアテーク」が正解
並木の途中にあるガラス張りの建物が、建築家・伊東豊雄の代表作として知られる「せんだいメディアテーク」。図書館やギャラリーが入った文化施設で、建築好きが全国から見学に来る名建築ですが、地元的には「散歩の途中で涼めて、本が読めて、カフェもある場所」。1階のカフェスペースからガラス越しにケヤキ並木を眺める時間は、それだけで仙台に来た甲斐があると思わせてくれます。
音楽と光。この通りは季節ごとに主役が変わる
9月には「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」が開催され、並木の下が丸ごとステージになります。プロもアマも入り混じって700を超えるバンドが街のあちこちで演奏する光景は圧巻。そして12月、ケヤキは数十万球のLEDをまとって「SENDAI光のページェント」の主役になります。葉を落とした枝に灯りがともる瞬間の歓声は、何度体験してもいいものです。緑・音楽・光——季節を変えて三度歩きたい通りです。
基本情報
- 場所
- 仙台市青葉区・定禅寺通(東二番丁通〜晩翠通の約700m)
- アクセス
- 地下鉄南北線「勾当台公園駅」下車すぐ/JR仙台駅から徒歩約15分
- 並木
- ケヤキ4列・166本。中央遊歩道に彫刻3体
- 主なイベント
- 定禅寺ストリートジャズフェスティバル(9月)/SENDAI光のページェント(12月)